指導担当の久島です。
パリオリンピックの女子ボクシング66キロ級において、外見がほぼ男としか見えない骨格を持つイマネ・ケリフ(アルジェリア)選手とアンジェラ・カリニ(イタリア)が試合について、ですが。
見ていて不快感ばかり感じる試合でした。
オリンピック委員会は「寛容性」と「平等」を口実として声高に唱え、イマネ・ケリフ(アルジェリア)選手を擁護しています。XY染色体があっても寛容に受け止め女性として扱うべきだ、女性として扱うからにはXY染色体があろうがなかろうが平等に女性として扱うべきだ、と言っている訳です。つまり感情に訴える事をしています。言ってしまえば単なる感情論です。
しかしケリフ選手は性分化疾患という事で、XY染色体があるとの事でした。XY染色体があると、だからどうなのでしょう?
疑わしきは、普通の女性より多いテストステロンをケリフ選手が持っている、という状況です。XY染色体がある事が即ち体内に睾丸がある、という事になるのか私には分かりませんが、そういう事に近い状況であるならば、これが意味する事はつまり、女性選手がドーピングしたに等しい状況が起きている、という事です。
つまり、性分化疾患がある女性選手で、テストステロンの値が一般の女性よりも遥かに多い、かつ、XY染色体がある場合は、XX染色体の女性選手とは試合をしてはいけない、という説得性がある理論が導かれます。
ボクシングが体重性で行われているのは、競技性と安全性を持たせる為に公平性を導入しているからです。
しかしニュースを見ると、XX染色体の女性選手の安全を全く案じない単なる感情論と、そうした女性選手たちの安全性を訴える説得性がある理論を同列に語るだけの報道ばかりです。
それも、身体的に圧倒的に有利なケリフ選手の側を可哀そうだと擁護した感情論ばかりで、身体的には弱者となる側の立場に立った感情論はありません。
犯罪で言えば加害者の人権ばかり声高に叫び、被害者の事には目もくれないマスコミの構図に似ています。
そしてやはり、ケリフ選手、そしてケリフ選手と同様の騒動を起こしている台湾の選手、二人とも金メダルになりました。問題が確実にある、という事です。
それが今回私が言いたかった事ですが、更に話をします。
合気道に試合がないのは、つまり競技化が出来ないのは、こういう事なのです。
合気道は純然たる武道ですから、男性、女性、体格差、というものを問題にせず、例えば、身体が小さな女性が体格に勝る男性の攻撃から身を守る、という事を可能とする、というものが神衛の根本となる考えです。
長くなりましたが、分かって頂けるでしょうか。そうした事を可能とする技術には、安全性がありません。というより、相手の安全を考えて技をかけてはいけないのです。