
戦技研という名称について
戦技研は、戦闘技術研究の略です。
戦技研の歴史について
この研究は1990年代後半から開始されています。
戦技研とは何かについて
戦技研は、実際の暴力の現場において養神館合気道を学ぶ人が、学んだ合気道をどのように応用するか、という事について技法と訓練方法を研究し、訓練を行う場です。
研究と訓練の両方を行います。
戦技研の必要性について
神衛は、型稽古である一般の稽古の他に、戦技研を行っています。一般稽古と戦技研の両方があって、神衛という団体が成り立っている、つまり戦技研は神衛の存在意義を示すものと言えます。
(1)新興宗教のようなカルト団体の様相になる事を防ぐ為に戦技研は必要
合気道は型稽古です。一定の条件下で成立する約束事を、技としています。条件が整わなければ、型稽古の技は成立しません。しかし、武道の経験がない一般の人にとっては、そのような事は見抜く事が出来ず、実戦能力がない合気道指導者を「強い」と勘違いしてしまう環境があります。
※参考 格闘偏差値という概念(ブログ「真実を追求する姿勢」)
養神館の開祖である塩田剛三先生を神格化し、自身は塩田剛三先生の技を受け継いだ教祖のような振る舞いをすれば、それに「騙される」という人も出てくる危険があります。
(そもそも、塩田剛三先生の技を受け継ぐ、という発想自体、正しく合気道を学べば起きてこないものです。それは素人を対象とした甘言みたいなものです。塩田剛三先生が、師である植芝盛平先生の技を受け継いだ、などと言われていない事から分かる事です)
神衛は、そうした団体になる事を避ける為に、型稽古である合気道の稽古と実戦対応クラス戦技研の両方を行っています。
(2)平和の国の日本であるから戦技研は必要
日本人は平和ボケをしている、という声は以前よりずっと聞かれます。そして、恐らくそれは間違えていません。第二次大戦後、GHQは日本において武道を禁止しました。日本人が持つ武士道の精神を欧米各国が恐れたからです。その結果、合気道の開祖である植芝盛平先生は、公職追放により茨城県の岩間に隠棲される事になりました。
合気道を日本の文化の一つとして捉える時に、こうした歴史を忘れてはいけません。そもそも合気道の理合は剣術の理合です。そこには武士の精神があるのです。
犯罪はいつの世にもなくならず、凶悪な事件は後を絶ちません。いつ起こるか分からない凶悪な犯罪に、いつでも立ち向かい、これを制圧する心のあり方は訓練をしないと育まれません。その為にも、平和な国の日本に住む私達にこそ、実戦対応訓練である戦技研は必要だと考えます。
(3)戦技研は神衛のアイデンティーであれど、受講は任意である
合気道は型稽古です。型稽古は約束事です。それは合気道の動きの本質を追求するには優れた稽古方法です。しかし実際の戦いには、虚実の駆け引きが伴いますし、また相手が凶暴な犯罪者であれば、理不尽な殺意を剝き出しにして襲ってくるでしょう。
礼で始まり礼で終わる合気道の稽古と、いきなり突然、平和な空気を壊して襲って来る礼も何もない暴力の現場は、一般の人には別世界と言えるほど解離しています。そもそも相手は正常な思考をしていません。襲って来る本人にも自身の思考が制御出来ていないのです。そこにあるものは一言、理不尽、という言葉だけです。
戦技研は、「合気道の稽古」と「犯罪の現場」の解離した部分をつなげる為の研究と訓練を行うものです。つまり合気道の稽古で合気道を学んで、更に犯罪の現場で必要とされる能力を「追加」として身に付けていくものとなります。
よって戦技研は、特に必要があると思う方だけ受講して頂くシステムになっています。
護身術と何が違うのか
養神館合気道にも、護身術や指導者資格試験の科目である実戦即応技(護身術)がありますが、戦技研はそれらとは全く異なるものです。
「護身術とは」手を掴まれた、など状況を決めて、その状況に対処する技術のことです。自由格闘レベルで状況が変化した場合を想定していません。
「戦技研とは」状況を問わず、様々な状況に対応出来る能力を養成する教育訓練です。自由格闘に対応するものです。
よくある質問と回答から抜粋
Q10 | 戦技研と護身術は何が違うのですか? |
A10 | 護身術は、こうされたらこうする、というシチュエーションを決めて、それに対処する練習を行うのが一般的です。型稽古の範疇にあるものです。養神館の護身術はそのように行います。 戦技研は、こうされたらこうする、という護身術とは違います。何をしてくるか分からない相手を、目的に応じた形(逮捕、行動不能化など)で制する能力を養成する訓練です。護身術の練習が型稽古の範疇にあるとしたら、戦技研は条件がない自由格闘の訓練をしていると言えます。 |
訓練内容
準備教育
2025年から開始しました。初等教育課程以降のような専門訓練ではなく、一般稽古の時間内に護身術の位置づけとして学んで頂く事が出来ます。
初等教育課程 相手は一人を想定。
相手の突き、蹴り、投げ、背後からの首絞めや羽交い絞め、タックル、ナイフでの襲撃、など、あらゆる攻撃を想定して対応出来る能力を養います。
攻撃側の立場にもなるので、突き、蹴り、など全く学んだ事がない人にも基本的な事から指導します。(攻撃側の技術は久島流として体系化していて、新しい格闘技となっています)
初等教育課程では、一人の相手が自由に攻撃してきた場合、それに対応出来るようになる事を目標としています。
中等教育課程
初等教育課程修了の後に進む事が出来ます。内容は、相手が二人となり、また状況も初等教育課程より過酷なものを想定しています。
高等教育課程
3人以上の相手を想定した教育訓練を行っています。
訓練期間
初等教育課程 6か月(短縮可)
中等教育課程 6か月(短縮可)
高等教育課程 8か月(短縮可)
訓練は、最終的な訓練成果を掲げ、第1回を初回とし、以降は前回に学んだ事を習得した前提で最終回まで行います。よって単発の飛び入り的な参加は出来ません。やむを得ず訓練を欠席された場合、補講を受講すれば次回訓練参加は可能です。
訓練成果
訓練成果については、初等教育第1回目の訓練中から実感されるはずです。
「合気道はこれほどまでに潜在する力があるのか」
という驚きの声が、訓練中に聞こえてきます。
世の中には海外発の護身術、あるいは合気道を真似た護身術、その他、色々な自称護身術や自称軍隊格闘技のようなものが世間にはあるようです。
戦技研はそうしたものとは全く異なるものです。戦技研は合気道の実戦対応訓練であり、それは合気道の本質の追求につながっているのです。よって戦技研で学んだ事は、そのまま合気道の実力向上になります。
合気道と戦技研は車の両輪のような関係性があります。
受講資格
初等教育課程受講資格の一つは養神館初段以上です。ただ、初段の実力があると認定されれば3級以上での受講は可能です。また中等教育課程は弐段以上、高等教育課程は参段以上と目安は設けていますが、初段以上であれば本人の実力を見て受講可否を判断します。
千葉県警察合気道同好会においては、その限りにありません。
※2025年より、戦技研準備教育課程を開始しました。
戦技研準備教育課程の受講資格は設けていません。養神館合気道を始めたばかりの方でも受講出来ます。一般稽古において護身術のような位置づけで受講して頂けます。
その他
戦技研の見学は出来ません。
戦技研の実際はどうなのか、費用は自分に払えるのか、いつやっているのか、神衛に入会しても自分は戦技研を受講出来るのか、など色々ご心配はあるかと思います。ご見学にいらした際に、ご心配を解消して頂けるようにお話をしています。
他団体の指導者や会員の方から、戦技研受講希望をお聞きするのですが、現時点では他団体の方への指導はしていません。ただ、神衛道場から遠方にお住いの方で、戦技研に興味を持たれている方におかれましては、様々な制約が解消され次第、宿泊研修で訓練実施出来る準備まではしています。
費用について
戦技研は申込制の講座となりますので、月謝とは別に費用がかかります。準備教育につきましては、費用はかかりません。