合気道の武器術

上の画像は、上から杖(警杖)、木刀(普及型)、短刀、です。

合気道では主として、剣、短刀、杖の三種の武器を稽古で用います。

合気道は剣の理合を体術に活用した武道です。よって、剣を持てば、そのまま剣術の動きになります。

上の画像は養神館合気道の右半身の構えです。

上の画像のように、右半身の構えの時に剣を持てば、正眼の構えになります。

また、合気道の突きや打ちの動きにおいて手に短刀を持てば、そのまま短刀術となります。

上の画像は養神館合気道の左半身の構えで、右手に短刀を持った状態です。

更に、合気道は剣術だけでなく、槍術などの理合もあり長い棒を扱う事も得意ですので、杖を用いた技もあります。

上の画像は杖です。

よって合気道では剣、短刀、杖を用いた稽古を行います。

(ただし、養神館では剣取り、短刀取りのように、相手が剣や短刀を持って攻撃をしてきた時に対処する技はあり、それらは審査科目に含まれていますが、杖については審査科目には入っていません。つまり基本的には杖の稽古は行われていません。)

合気道の武器術は下記の3つの場面で見る事が出来ます。

1.剣
剣取りという技があります。これは剣を持った相手からの攻撃に対処する技です。ここでは剣を持つ側が攻撃する技術として見る事が出来ます。技は主として前進しながらの真向(まっこう)切りがあります。

また合気道の単独動作において剣を持つ事で、そのまま剣の素振りになります。

2.短刀
短刀取りという技があります。これは短刀を持った相手からの攻撃に対処する技です。ここでは短刀を持つ側が攻撃する技術として見る事が出来ます。主として突き、または打ちがあります。

上の画像は、短刀の横面打ちになります。

3.杖
杖投げと杖取りの技があります。杖投げは自身が杖を持ち、相手が杖を奪いにきたところを投げる技です。杖取りは杖投げとは逆に自身は素手で、相手が杖使って攻撃してきたところを、相手の杖を奪いつつ相手を投げます。

養神館における武器術

養神館において武器を使うのは下記の通りです。

・短刀取り、剣取り、多人数取り、にて受けが短刀や剣を用いて素手の仕手を攻撃する技術。
・単独で行う剣操法(剣を持って行う基本動作)
・二人一組にて短刀対短刀で行う短刀操法

この3つが養神館で行われている武器術です。

(先にもお伝えした通り、杖の用法は養神館では伝えられていませんが、養神館合気道は杖を持って動けば杖術になる、という考え方が出来ますので、神衛では独自に杖の研究をして体系化しています。)

神衛における独自の武器術

神衛では上記の内容を正しく踏襲しながら、更に武器術の研究を進めています。その一面をご紹介いたします。

剣術(塩田剛三先生が研究された剣操法の復元と養神館合気道学習用剣術)

神衛では合気道の剣術として、大きく二つの取り組みをしています。一つは剣対剣の剣操法であり、もう一つは剣対剣の組太刀です。

1.剣対剣の剣操法(塩田剛三先生が遺された資料からの復元)

上の画像は剣操法です。

塩田剛三先生が昭和30年代に剣対剣の操法をまとめました。しかしこれは純粋にご自身の研究のものであったようで、弟子に指導をする事がなく、その剣操法は失伝されたようです。

神衛では、塩田剛三先生の直弟子の師範である葉武会代表の園田武彦先生から、剣操法の資料を譲って頂く事になりました。また、独自に入手した書籍「塩田剛三著 合気道の楽しみ方 西東社 昭和44年9月発行」に剣操法の一部が紹介されてて、それら資料を基に剣操法の復元を試みました。塩田剛三先生の監修がなければ復元は成功したとは言えませんが、おそらく復元は成功しています。

2.剣対剣の組太刀(養神館合気道学習用剣術=久島流剣術)

上の画像は久島流剣術の組太刀です。

ここでいう組太刀は、上記の剣操法を土台として神衛独自に組み立てられたものです。

上の画像は神衛において剣の稽古を行う際に使う木剣です。古流剣術である一刀流剣術の木刀を更に短くした特注品です。体術である合気道の学習用に使うので、通常の剣より短くなります。

上の画像において、右が普及型木刀と言われる一般的な木刀です。

神衛においては、上記の「剣の理合を、剣を持たずに体術に活かした武術が合気道」とする考え方を逆にして、「剣をもったまま行う合気道ともいえる剣術」として整理したものを考えました。

これは養神館合気道を学ぶ人にとって、初心者には難解に思える合気道の動作が直感的に分かりやすくなり、また上級者にしても多くの発見があるものとなりました。これを「養神館合気道学習用剣術(久島流剣術)」としています。

久島流剣術の特徴は、動作原理は養神館合気道そのものであり、その稽古を行う事で養神館合気道の動きが自然と身に付けられる事が挙げられます。また、全て剣取りという相手の剣を取り上げる事が可能な技となっているので、合気道の理念を剣でも体現しています。

上の画像は対二人組太刀です。女性に対して二人の男が斬りかかっていますが、女性は二人を斬り伏せます。

杖術(警杖)

養神館では杖術は伝えらえていません。よって神衛で行っている杖術は当団体独自のものです。

古流の神道夢想流や岩間の斎藤守弘先生によってまとめられた合気杖とは全く異なるもので、養神館合気道の理合にのっとり杖術を体系化しました。

その特徴は対ナイフ、対棒、対複数人数に対応し、これら相手を打ったり突いたりするだけでなく、その攻撃を防ぎ、制圧までするところにあります。

上の画像は対ナイフにおける久島流杖術です。この状態からでも警杖を用いて、安全に相手を制圧する事が出来ます。

千葉県警察合気道同好会に所属する警察官の要望が多くあり、犯罪現場において警察官が使いやすいものを念頭に置いて体系化しました。

対刃物、対青龍刀(マシェット)、対日本刀、対複数、等、また、取り抑えなど、他に類を見ない技術体系となっています。

なお、杖術はクラス分けをしています。
ベーシックは養神館合気道の動きを基本としています。
応用は久島流の動きを基本とします。

警棒術

警棒術も神衛独自のもので、こちらも千葉県警察合気道同好会に所属する警察官からの要望で、警察官が現場で使える警棒術を体系化しました。警察で正規に行われている逮捕術の警棒とは全く違うものです。

また2024年10月現在、神衛とは別団体である久島流において、更に上位の警棒術を体系化しています。上位というのは、速修速成かつ応用性が高く威力がある、という意味となります。

ナイフ術

こちらは戦技研で、相手がナイフで襲ってくる場合のナイフ側として必要な技術となります。戦技研では必要最小限の基本を学んで頂きますが、神衛とは別団体である久島流では本格的なナイフ術を学ぶ事が出来ます。

一番上の刃物は、マシェットです。こうした大型ナイフを用いたナイフ術を神衛では体系化しています。

上の画像はマシェットと呼ばれる大型の刃物です。中国人マフィアが使う事がよくあるので、神衛では対マシェットの技術だけでなく、マシェットを使った戦闘法も戦技研で指導しています。

他にも

短刀を用いた対剣術(懐剣術を含む)

小太刀または警棒を用いた対剣術、対短刀術

(フラッシュライトを用いた暗所探索、暗所戦闘なども戦技研で指導しています。)

など体系化しています。